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レザーを着て死ね

Ihate you なめられたくない全ての男に送る

DopeTown 天王寺

初デートといえば、やれ甘酸っぱいだとか、やれ切ないだとか、青春の良き思い出のように語られることが多いが私は違う。
初デートは今から15年程前の高校1年生の時、舞台は「大阪の下町」、レトロな香りを残す街「天王寺」。午前中は天王寺のショッピングモールでぶらぶら買い物し、午後は動物園に行くという王道のデートコース。それでも動物好きの彼女の気を少しでも引こうと精一杯考えたデートプランだった。前日はホットドックプレスの「HOW TO 手の繋ぎ方講座」を蛍光ペンを駆使して読み込んだ。ぬかりなし。

 

ショッピング中、終始二人の会話は弾み、計画通りにデートは進む。手をつなぐ以上の成果も期待出来る雰囲気。歩き疲れた私たちは近くの噴水で休憩をとることにした。

が、それが全ての間違いだった。

座るまで全く気づかなかったのだが、隣にふっと目をやると女性物のパンティーを頭からかぶったおじさんが座ってる!

作り手の意向を無視して足じゃなくて目をだしてこっちを見てる!

彼女もおじさんを見て青ざめ黙りこむ。危険を察知しすぐにその場から離れようとするも、「お兄さん、カップルですか?いいですねー」と話しかけられた・・・。

勝手に私たちに親近感を抱いたオジサンは、「君たちおじさんのこと変態だと思ってるでしょ?おじさんにはわかるんだよ。人生経験豊富だから」と当たり前のことを自信満々に言ってきた。

おじさんは聞いてもないのに、「出会い系で知り合った女子高生が、パンティーをかぶって来てくれたら会うって言うんだよ!!」と、唾を飛ばして必死に言い訳をする。その残された理性が逆に気持ち悪かった。
内心心細かったであろうオジサンは身の上話を堰を切ったように話だす。若い頃は身長が低くジャニーズ系の顔立ちでモテたという。しかし、非常に奥手な性格でチャンスをいかせなかったので今になって反動がきているとのこと。私には自身のことをジャニーズ系と評価するおじさんの顔はなんとも平凡で、自称チャームポイントの目はギョロギョロしてるだけの濁った大人の目にしか見えなかった。性に開放的な母から産まれた私は若干母とオジサンをだぶらせ「お子さんに申し訳ないと思わないんですか?」と不快感を露わにすると、一瞬腕を組んで考えるそぶりを見せた後、仕方ないじゃん!ヤリたいじゃん!と開き直った。
彼女は何度も早く動物園へ行こう!と訴えてくるが、もはや私の心は動物よりもおじさんの生態に惹かれてしまい一緒に女子高生を待つことに。

約束の時間はゆうに過ぎているが女子高生は全く現れない。辺りを見回してみると建物に身を隠し、男女の高校生グループがこっちを見て大笑いしているのが見えた。それを見て全ての事態をのみ込んだ。なるほど、案の定おじさんはだまされている。けれど、おじさんには全く同情出来ないし懲らしめる意味も込めてもう少し泳がすことにした。定刻を過ぎても当然女子高生は現れず、おじさんは落ち着かない様子で何度も携帯をチェックし、「おかしいなぁ、気づいてないのかなー」とぶつぶつ呟くので、さすがの天王寺でも噴水の前でパンツをかぶってる人はあなただけですよ、と丁寧に教えてあげた。

一向に姿を見せない架空の女子高生にイライラしだしたオジサンはあろうことか私の彼女に対して「君とちゃうー?」とあらぬ疑いをかけてきたり、噴水の段の上によじ登ってパンティーをこれ見よがしに通行人に向かって掲げたり、橋から身を乗り出して通行人にパンティーを今生の別れとばかりに振ったりとみなぎる性欲を隠そうともせずせわしなく動きまわる。大量にでた汗をパンティーという名のハンカチーフでぬぐいながら「もしかして、事故でもあったのかなー?」と悲しそうに呟くおじさんを見て、さすがに不憫になったけど「最近のラブホって二時間5000円ぐらい?」とゲスな質問してきたのですぐに考えを改めた。そして定刻から1時間経過しても現れないことに痺れを切らしたおじさんは「ちょっと目印が分かりにくいのかもしれない」と、全く客観的に物事が見れてないことがよくわかる発言をして、1パック3枚セットで購入したという残りのパンティーをマイカーのポールにひっかけてくると言い残し、車のもとへと走っていった。数分後、走って戻ってきたおじさんはぜぇぜぇと息を切らしていたが、意地でもパンツを脱ごうとせずパンツの布の繊維の隙間から深呼吸して息を整えてから「きた?」と聞いてきたので、さすがの彼女も吹き出した。

「実は‥」と種明かししようとすると、おじさんは突然そうだ!と閃いたような顔をして、さながらプロゴルファー猿のように、膝をつき車と噴水の位置を指や手を駆使して測りだした。そして、エロザルは丁度車と噴水の中間に位置する天下の往来に最後の一枚のパンティーをぱさっと置いたので、「なんのつもりですか?」と聞くと、パンツを道しるべにして女子高生をおびき寄せるという下品なトラップの説明をするので、こいつには何を言っても無駄だと思ってさよならした。別れ際に「パンツのおじさんを探してる女子高生がいたら、噴水の前にいるいうといてー!!」と叫ばれたので振り返らずに走って逃げた。
ちなみに動物園はおじさんを見た後、何を見ても全く感動できず直ぐに帰った。もちろん彼女には後日すぐに振られた。

 

 

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